藍が染料になるまでには長い時間が必要です。
しかし、染料ができたからといって、それだけで布が染まるわけではありません。
布を染めるという行為には、人の手による数多くの工程があります。
ここでは、藍が布へと移り、色となるまでをご紹介します。
天然藍の染液は発酵によって作られています。
そのため、同じ状態であり続けることはありません。
微生物が働き、温度や環境に応じて変化を続けています。
私たちは毎朝まず液の様子を確認します。
今日の液は元気なのか。
色を出そうとしているのか。
少し休ませた方がいいのか。
長く向き合っていると、わずかな変化にも気づくようになります。
布を染める前に、まず液と向き合う。
それも藍染の大切な仕事のひとつです。
藍染は絵の具のように色を塗ることはできません。
布を染液の中へ静かに沈め、繊維の奥まで藍を含ませていきます。
均一に染めるためには、布の動かし方や、液の中での触り方も重要になります。
一見単純な作業に見えますが、布の状態や素材によって向き合い方は変わります。
染液から取り出した直後の布は、青色ではありません。
緑色や茶色に近い色をしています。
その布が空気に触れることで酸化し、洗うことで余分な液が流れ落ち、青色へと変化していきます。
色が現れるまでの時間はほんのわずかですが、藍染ならではの美しい瞬間です。
濃い色を作るためには、一度だけではなく何度も染色を繰り返します。
染める。
空気に触れさせる。
再び染める。
その繰り返しによって、色は少しずつ深みを増していきます。
SLOW FABRICでは、濃いものでは40回ほど染め重ねることもあります。
一度で仕上げるのではなく、時間を重ねながら色を育てていく工程です。
私たちは、3世代先まで残る作品をつくりたいと考えています。
新品の状態が完成ではなく、使われることで表情を深め、持ち主とともに時間を重ねていく。
受け継がれたとき、その布に刻まれた時間もまた価値の一部になると考えています。
そのためには、デザイン性だけでなく、布にしっかりとした色を与えることが大事だと考えています。
色を付けるだけなら数回の染でいい。でも強い色を作るには、布が希望の色に染まった後でも何度も染め重ねる。そして洗いを続ける。
ここを妥協しないのが、私たちのこだわりです。