藍は、色の名前であり、植物の名前としても使われます。
私たちが目にする深い青色は、もともと一枚の葉から始まっています。
長い年月をかけて受け継がれてきた藍は、藍師により畑で育てられ、染料へと姿を変えてきました。
ここでは、藍という素材そのものについてご紹介します。
私たちが染料として使用している藍は、「タデアイ」という一年草です。
春に種を蒔き、夏にかけて大きく育ちます。
畑いっぱいに広がる藍は鮮やかな緑色をしていますが、その葉の中には青色のもととなる成分が含まれています。
普段目にする青色からは想像しにくいかもしれませんが、藍の始まりは緑の植物です。
収穫した藍をそのまま染めに使うことは、日本ではほとんどありません。
藍は葉と茎に分別され、葉のみを天日干しで乾燥させます。
乾燥した藍の葉は、藍師と呼ばれる職人により、藍の染料「蒅(すくも)」に変えられます。
蒅づくりは、乾燥葉を山積みし、水を加え、空気を入れるように混ぜることで、発酵させる作業です。
およそ百日ほどかけて発酵し、蒅が出来あがります。
水分を調整しながら発酵を促し、少しずつ繊維を分解させていきます。
昔から受け継がれてきた藍の文化は、染師だけでなく、こうした藍師の方々に支えられてきました。
発酵により自然と人の手が共に関わることで、藍は染に適した形に変わります。
藍は古くから日本各地で親しまれてきました。
仕事着や野良着、風呂敷や手ぬぐいなど、多くの布製品が藍で染められていました。
鮮やかさだけではなく、暮らしの中で使われる色として選ばれてきた歴史があります。
長く使うことで色合いは落ち着き、その人の暮らしとともに表情を深めていく。
藍はそんな素材でもあります。
藍は何千年も前から使われている素材ですが、決して過去のものではありません。
育てる人がいて、蒅を作る人がいて、染める人がいて、使う人がいる。
そうして今も受け継がれています。
私たちもまた、その長い流れの中で藍と向き合っています。
まずは藍という植物や素材そのものを知ってもらえたら幸いです。