手 私たちの仕事は、多くの工程が手作業によって行われています。布を裁つこと。縫うこと。絞ること。染めること。一つひとつの工程に、人の手が関わっています。効率だけを考えれば、もっと早い方法もあるかもしれません。それでも私たちは、手を使うことを大切にしています。 手は均一ではない 機械は同じ動作を正確に繰り返します。一方、人の手はわずかに揺らぎます。力の入れ方。布の持ち方。糸を引く強さ。その小さな違いが、一枚一枚異なる表情を生み出します。私たちは、その揺らぎを欠点ではなく魅力だと考えています。 手が布に残る 布をよく見ると、そこには作業の痕跡があります。糸を括った跡。折り重ねた跡。何度も触れたことで生まれるわずかな表情。完成したあとも、その痕跡は布の中に残り続けます。私たちは、それを人の手が残した風景だと思っています。 時間をかけるということ 手仕事は時間がかかります。しかし、その時間は決して無駄ではありません。布の状態を見ながら進めること。素材に合わせて判断すること。その積み重ねが、仕上がりの違いになります。手仕事とは、手だけで行う作業ではなく、素材と向き合う時間でもあります。 手から手へ 昔から多くの技術は、人から人へ伝えられてきました。文字だけでは伝わらない感覚。言葉にしにくい力加減。そうしたものは、実際に手を動かしながら受け継がれていきます。私たちが使っている技法もまた、長い年月をかけて受け継がれてきたものです。しかし、私たちは手で作ることそのものを目的にはしていません。大切なのは、手を通して素材と向き合うことです。布に触れ、変化を感じながら作る。その積み重ねが、一枚の作品へとつながっています。